さくしかにきけばよくね

短編小説(私小説、たまにフィクション)風にして日常をお届けしてます

モテない人などいないのだ

あなたも僕も絶対必ずどこかの誰かからはモテている、、はず、、たぶん、、じゃないかなあ、、と思うなあ、、な話。

 

 

やっぱモテる人は違いまんな

こんな話をきいた。

ある大学生の男子が彼女への誕生日プレゼントのことで悩んでいた。彼女が靴を欲しがっていることまではなんとなく探り当てたが、靴のサイズがわからない。サイズを知る何かよい方法がないものか。悩んだ末に、彼は、とてもよくモテるタイプの親友に相談した。すると親友はこともなげに言った。

「ボーリングデートってそのためにあるんじゃない?」

やっぱりモテ資質の人間は、発想が違うなあ。僕なんかだと、彼女が家に来たときにそっと玄関で靴をみろとか、雨上がりの道を歩かせた後でこっそり足跡を測りに行けとか、言うだろうな。きっとこの二人は、まだ家に来たりするまでの間柄でもないのだろう。もしそういう関係だとしても、親友さんならそんな単純な恰好よくないアドバイスはきっとしないのだ。やっぱモテるにはそれだけの理由があるんだな。

 

 

大丈夫だ。モテない人などいないのだ。

ボーリングデートのキレとコクとモテ感満載の話をきいて、僕は学生時代のあるひとこまを思い出した。卒業も間近にせまったころ、ワンルームの狭い部屋で友達のK君と朝まで飲んでいたときのこと。

「学生時代のいちばんの後悔って何だ?」僕はK君にきいた。お互いに数えきれないほどに後悔だらけなのは分かっていた。

「やっぱ女関係だよな」とK君はちょっとかっこよく言った。意外だった。

「何があったんだよ?」

ちょっとした驚きと興味本位で尋ねると、

「何もなかったんだよ!」

K君は悲しそうに腹立たしげに怒鳴った。こっちまで淋しくなった。

 

しかし、K君よ。あれから数十年、ボーリングデート君ほどではないにしろ、僕らだってまったく1ミリもモテなかったわけじゃない。K君には素敵かどうかはわからんけども、幸せなのかもよう知らんけども、立派な家庭もあるじゃないか。あの夜の自分に言ってやりな、そして世界中の人々に叫んでやりな。「モテない人間など一人もいないのだ!」って。ちょっとだけ泣けてきたよ。うれし涙でね。