さくしかにきけばよくね

短編小説(私小説、たまにフィクション)風にして日常をお届けしてます

ぱーりー・じょーくなんすよね?

ぱーりー・じょーくなんすよね?

怖いけど面白いけどコワい、あめりかん・ぱーてぃ・じょーくのお話。

 

トゥエンティワン、トゥエンティワン・・・

ニューヨークの街角。ある白人の男が散歩していると、一人の黒人の男が妙なことをしているのに出会った。その黒人は、通りのマンホールのフタの上で規則的に飛び跳ねながら、

「21、21、21、21,21・・・」

と叫んでいる。それも実に楽しそうに、もう嬉しくて楽しくてたまらないという様子で跳んでいる。白人の男は不思議な気持ちでながめていたが、そのあまりにも楽しそうな様子に、自分もどうしてもやってみたくなった。黒人に頼んで、マンホールのフタの上の場所を譲ってもらい、彼は黒人の真似をして跳びあがった。

「21・・・」

と白人の男が叫んだ瞬間、そばにいた黒人は足元のマンホールのフタをサッと取り外した。白人の男はそのままマンホールの深く暗い穴の中へ。黒人の男はマンホールのフタをもとの通りにきっちりと嵌めなおすと、その上でまたぴょんぴょん飛び跳ねた。

「22、22、22、22,22・・・」

と嬉しそうに叫びながら。

二重のブラック・ジョーク

話の筋もオチもとても面白いブラック・ジョークだと思う。大好きだ。けれど、これをパーティー・ジョークとして語ると抱腹絶倒になるというアメリカの感覚はちょっと理解できない。黒人と白人の対比をことさら強調しているので、きっと人種の軋轢が今も残っていたりするからなのかなあ。二重の意味でブラック・ジョークなんかもしれん。

ただ、こういう人を巻き込む系の話は、いいことにも使えそう。自分にとって嫌な仕事をとても楽しそうにやってみせて、それに魅かれた他人にその仕事をやらせてしまうとか。「トムソーヤの冒険」のペンキの話みたいに。でも、トムは最初の成功に味をしめちゃったばかりにどんでん返しがあったよね。アメリカ的なオチって日本とはまた若干違う秀逸さで、好きだな。

 

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