さくしかにきけばよくね

短編小説(私小説、たまにフィクション)風にして日常をお届けしてます

有名女性アーティストとまだ無名な芸人さん

有名女性アーティストとまだ無名な芸人さん

なぜか時々ふと思い出しちゃう話。売れっ子女性アーティストとまだ売れてない男性芸人に同じことが起こったのだけど、その対応があまりにも対照的だった件。

 

素晴らしいアーティスト

その女性アーティストが描く歌詞はとても素敵で、僕みたいな下劣な人間からは絶対に発想されないような愛と慈悲に満ちた素晴らしいフレーズがたくさんあってね、きっと美しく大きな心を持たれた方なんだろうなあって想像してました。お会いしたことはないけれど、そこは間違いないと思う。精神って作品に滲み出るものだからね。

大きな震災があった年のこと、彼女はタクシーに財布を置き忘れてしまったことをSNSにあげました。タクシー会社へ連絡したもののけっきょく財布は出てこない。彼女の怒りは財布を持ち去ったであろう人間へ、かなり辛辣な言葉で投げかけられました。細かい文脈は覚えてないけれど、拾ったものを持ち去るのは盗みだ、わたしはあなたにお金をあげるために働いているのではない、等々の怒声の数々、泥棒とまで罵ったかは定かでないにしても相当な怒りを爆発させていましたね。

彼女の怒りも、言いぶんも、言いかたも、まったく正しいし、ど正論です。被害者である彼女の気持ちもわかるし、彼女こそ正義だと思う。でもねえ、何かちょっとだけ心にひっかかるものが残ったんだよね。

 

まだ売れていなかった芸人さん

彼女のSNSから一週間後、当時まださほど売れていなかったある芸人さんのネット発信に目がとまりました。そこには偶然にも、タクシーに財布を忘れたこと、会社などに連絡していろいろ探したけど見つからなかったという彼女と同じ流れが書かれていたのね。けどそこからの流れがまったく違ってた。

財布が戻ってこないのは痛いけれど、もう諦める。そもそも財布を置き忘れた自分もわるいし。ただもし財布を拾った人がこの記事を読んでくれていたら一つだけお願いがある。財布のお金の何割かでもいいから震災で被害にあわれた方へ寄付してくれないか。あなたがそうしてくれると信じて自分も納得する。

 

どちらの対応がいいとか、正しいとか、わるいとか、そんなこと言いたいわけではないよ。そんなの良いも悪いもないもん。僕が時々この話を思い出すのは、もしもこのアーティストと芸人のどちらがどっちの対応をしたのかが分からないように2人物と2対応をばらばらに切り離して、「どちらがどっちの対応をしたでしょう?」と問うたならみんなはどう答えるんだろうなって思ったりするからです。(※もちろんアーティストと芸人の実名写真を公開した上でだよ)。

 

地位や名声や見た目のイメージで人は人を判断しがちじゃん?🕵️‍♀️