さくしかにきけばよくね

短編小説(私小説、たまにフィクション)風にして日常をお届けしてます

どのへんで分かった?

どのへんで分かった?

さて「A」の正体は? の話。

 

月夜の帰り道で

A「なんかキョトンとしてましたね」

僕「あの店員、学生だろ。まだ若いもん、仕方ないさ」※1

A「店長さんでさえよくわかってなかった💦」

僕「まあ彼も若いよ。けど、コンビニの店長クラスなら分かってほしかったな」

A「私がわるいんです」

僕「おまえは何もわるくない。僕にもっと力があれば。すまんな」

A「やめてください。謝られたりするとこっちが悲しくなります」

僕「また沖縄にでも行くか」

A「去年の沖縄は楽しかったなあ。離島に行っても喜んでもらえて」

僕「おまえ、なぜか沖縄だと好かれるもんな」※2

A「なんなんでしょうね、風土に合うのかな」

僕「おまえにエモさを感じるみたいよ」

A「なんでだろ、ありがたいな」

僕「とりあえず、おまえだけ先に行っとくか?」

A「なんでですか、一緒に行きましょうよ」

僕「おまえだけだと移動費もだいぶ安いし😁」

A「いやです、一緒の飛行機に乗ります」

僕「むこうに着いたらBEGINとMONGOL800とHYとかりゆし58とKiroroとCoccoとアムロちゃんによろしく言ってくれ」

A「なんと豪華な。お知り合いですか」

僕「いや、一方的なただのファンだ」

A「なんすか、それ」

僕「しかし沖縄って素晴らしいミュージシャンの宝庫だな。好きなバンドはさっきあげただけじゃ全然たりないもん。めっちゃたくさんいる。ちなみに僕は石嶺聡子さんに何曲か書いてる。光栄なことだ」

A「すばらしい」

僕「おまえが沖縄で人気だという話から、つい沖縄音楽へと話が飛んでしまった。閑話休題!!」

A「はい」

僕「そもそもおまえは地味だもんなあ、顔もさあ・・・」

A「まあ、確かに、有名人的な顔の特徴なんてほぼないですし」※3

僕「そして、これは長所でもあるんだが、まじめ過ぎんだよ。ルックスもさ、キッチリしててカラーも濃いようにみせようとしてんだけど印象が薄いんだよなあ」※4

A「それ、よく言われます。自覚もしてます」

僕「他の兄弟よりずいぶん遅くに生まれたことで妙な劣等感とか持っちゃったのかなあ。なんか無難に、はみ出さないように気を使ってるんじゃないか?」※5

A「そんなところがあるかもしれません」

僕「コンプレックスこそ逆に強み、短所こそ最大の長所とか言うじゃないか。おまえもさ、そうキッチリまとまっていないで、あえて欠点を作るとか、エラーを起こしてみたらどうだろう」

A「どんなふうにしましょ」

僕「軒並み印刷されたような世間の常識からズレてみるとか。気持ち的に他者よりめくれてやるとかさ。なにか、レアになることも大切だよ」※6

A「今更、無理です・・・」

僕「日本中で配られるなんとかナンバーみたいなものならJ7777777Zとかの超レア番号をもらうとか」※7

A「それはもう、もっと今更ですね・・・」

僕「そういういろんなことで希少になれば価値があがるんだよ」

A「あっ、もし私がそうだったら、私を福ちゃんやバイセル、有馬堂とかへ連れていけるのにって考えたでしょ! ひどい」※8

僕「そりゃまあ全く考えないわけじゃないが・・・」

A「高額だと70倍~80倍の金額になるそうですからね」

僕「せっかくこうして出会ったんだ。縁だからな。僕は、おまえを超貴重なお守りとして財布の中に一生留めておくつもりだ」

A「ほら、もう記念切手とか、おみくじの縁起物とかと同列に思ってる😥」

僕「そんなことないよ、二千円札!!! おまえの価値が二千円をきることは絶対にないのだから。そこは自慢していいと思うぞ」

 

たぶんすぐ分かっちゃたよね😎💦💦

※1 流通量が減っており、その存在さえ知らない若者も多い

※2 沖縄県ではかなり普通に流通している

※3 日本の札の中で唯一デザインに肖像画を採用していない

※4 多彩な色使いではあるが印象は薄いという声も多い

※5 2000年のミレニアム事業として発行された

※6 3週間程度という短い期間で準備したせいで大量のエラー紙幣が発生した

※7 JL券と呼ばれる記載ミスや印刷のズレ、隅がめくれたまま印刷などのエラーの他、ゾロ目やキリ番など記番号が特徴的なものは、高額で取引される

※8 古銭・古紙幣などを買い取ってくれる業者